日記
-
2024.07.05
起きた途端、七尾旅人の『ドンセイグッバイ』がリフレインして止まらなくなったので流しながら身支度をした。行きの電車で川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』を読み切ろうとおもったが終わらず、序盤、語り手の女性が段々とアルコールに依存してゆくさまが些細な違和として文中に忍び込むのが不穏…
-
2024.07.04
生協の本屋をうろうろしていたら、落合陽一と暦本純一が対談している新書が目に留まったので買った。『2035年の人間の条件』。ワカオくんは今日は散髪とのことで、彼の散髪は30分くらいで終わるだろうと見積もってその時間に床屋の前まで行ったところなかなか出て来ず、どうやら今日はパーマを…
-
2024.07.03
『ルックバック』を観る。窓際の机、漫画を書く左手。後ろの席に回される学級新聞の反復。他なる才能に触れて拡がる教室と反響する声、移ろい行く季節と雪化粧の山々、紫色に染まる空と畦道、二人を分つ一本の樹、スケッチブックで溢れた暗い廊下、風で舞う紙の断片。とにかく描け! の付箋と夜に向…
-
2024.07.02
講義に出るのを早々に諦め家でしこたま寝る。14時ごろに起きると、どういうわけだか千葉の金谷港あたりに行った記憶が次々と思い起こされ、あれは大学1年の夏だっただろうか、独りで久里浜から東京湾フェリーに乗って金谷へ行き、「岬」という名前の海沿いのカフェで珈琲を飲んだあとふたたびフェ…
-
2024.07.01
どうも調子が悪く、5限を一緒に受けている藤野くんには悪いが、昼の講義のあとすぐ家に帰って夜まで寝ていた。明日早くないなら軽く飲もうぜ、キープしたキンミヤもまだあることだし、と言おうと思っていたのだが。でも太腿やふくらはぎのあたりに間接痛ではないけれど重々しい怠さが居座っていて、…
-
2024.06.30
「――いいのよべつに。わたしも含めて、みんな好きにやれば。でもね、普通に話をしていていきなりそういうのを押しつけられるのはたまらないわよ。気分悪くなるもの。でもあの人たちは自分たちのことを『気づいた側』の人間だって自負していて、それが唯一のアイデンティティだから、それを黙ってら…
-
2024.06.29
霞が関から有楽町まで歩いて行き、角川シネマで『蛇の道』を観た。ちょうど良くトークイベント付きの回で、終わったあとに監督の黒澤清ともうひとり誰だかが出てきて20分ほど喋ってくれた。『蛇の道』を僕は『悪は存在しない』の予告編で知って、黒澤清がどうやら濱口竜介の師匠みたいな人であるら…
-
2024.06.28
外は土砂降りで家を出るのがなんとなく躊躇われたけれど、ふとナイターのチケットを見てみたら空きがあったのでそれを取って、外出する予定ができたので仕方なく午後の授業へ向かった。だから三田で授業を受けたあとに地下鉄で水道橋へ移動して、ナイターが始まる18時までの間は機械書房へ寄ったあ…
-
2024.06.27
夜中、家に帰る道すがら、高齢の男性、こういう場合はどうやって形容するのがいいのだろうか、シニア、おじさん、お爺さんというほどでもない、「ダーツの旅」であったら「お父さん」と所ジョージに呼びかけられるような人だーーが何か言いたげな素振りでこちらに近づいてくるので、仕方なくイヤホン…
-
2024.06.26
そうかい、じゃあ、と言ってから、サトウさんは黙った。ずいぶんと長い沈黙だった。初夏の風がわたしたちの間を吹き抜け、去っていく。ぶろろろろろ、と、遠くで車のエンジン音がして、ニセモノ、わたしはふっと、バス停の標識の向こうを見やった。青いナツミカンの葉と、未成熟なアジサイ以外は、な…
-
2024.06.25
恋人と川沿いを散歩しながら帰る。風は少しあるものの生暖かく、歩くのには今夜くらいの気温が限界かもしれない。恋人が「夏のさあ、土? みたいな匂いしないね」と言うので「どうだろうねえ、蝉が鳴いてないからじゃない?」と僕は言った。ゆるやかな齟齬。そこはかとない不安。 今日はなんだか…
-
2024.06.24
月曜。5限が休講になったので機械書房へ行くと、岸波さんは椅子に座って本を読んでいた。そんなものがあるのか分からないが、本の世界で生計を立ててゆくこと、独立系書店、個人出版、大手の編集者、いろんな人がいるけれど。そんなことを1時間ほど二人で話していただろうか。夢があるんだか無いん…
-
2024.06.23
ショッピングモールの眼鏡屋に新しく作った眼鏡を受け取りに行くと「今日の朝レンズが入荷して……、まだ加工が済んでいなくて……」と申し訳なさそうに言われたので、ええ良いですよ1時間くらい待ちますよと答えたはいいが、本当に眼鏡を受け取りに来ただけのつもりだったので暇つぶし用の本が無い…
-
2024.06.22
焼き物概論みたいな授業のレポートが今日までの締め切りで、やっべーと思いながら午後から取り掛かる。東博で展示されている焼き物を見に行ってその中からひとつ選んで論ぜよ、というやつで、だから水曜に見に行って選んだのは「白濁釉手付鉢」という名前の変な皿だった。これは四隅が丸いハンドタオ…
-
2024.06.21
金曜。福尾さんの博論本が書店に並び始めたらしい、くまざわ書店の在庫を検索したら蒲田に入荷されているとわかったので、途中下車して買った。『非美学』は一応6月24日の発売ということになっていて、なんとなく6月24日、624、きりの良い数字だ、という組み合わせが頭の中にずっとあったが…