朝帰り。スーツに着替えて再び都内へ。地上へ出ると雨が降っているようで、街ゆく人の半数が傘をさしていた。しばらく近くのビルの軒下で様子を伺ったところ一向に止む気配はなく、諦めて濡れながら交差点を渡って、東急プラザのスタバで時間を潰した。ハラカド、オモカド、ラフォーレ。大きな交差点に立つと四方が同じ風景に見える。いつからこんな街になったのか、と感慨に浸ろうにも原宿に対する思い入れはほとんどなく、しかし鏡面の中を2本のエスカレーターが抜けてゆくこの建物には昔来たことがある。高校を卒業したての春休みだっただろうか。当時付き合っていた人のメイク道具一式を揃えに、彼女と、その妹と3人で来たのだ。勉強一筋で垢抜け切っていなかった彼女と対照的に妹のほうはだいぶませていて、共学の高校で遊びまくっていた。ハロウィンに機関車トーマスの仮装をして、サイケデリックに加工したストーリーズをインスタに上げていたことを思い出した。
面接へ。詳しいことは何ひとつ書きたくない。終えると憔悴しきってしまい、逃げるように本社の自動ドアを抜けた。一年ぶりの感覚。あまりにも耐え難かったのでタマムラ君に電話をかけて慰めてもらいながら新宿まで歩き、新線で初台へ。働く。頻繁にさっきのやり取りがフラッシュバックして、その度に目をぎゅっと瞑ってやり過ごした。店が空いているのがせめてもの救いだった。さっさと締め、急いでストゼロを買って終電に飛び乗った。