終電で帰宅。徹夜を見越して相当な量のカフェインを摂っていたはずなのに眠く、8時半まで寝てしまった。シャワーを浴びてスーツに着替え、薄化粧をしたあとハードジェルで髪を固める。机の上を片付けてwebカメラの画角を定位置に調整すると、去年増設した本棚に並べている岩波文庫の背表紙が映りこむことがわかり、いくら何でもそれはいやらしいだろう、と思ってどかした。面接。真っ先に訊かれたのが「学部には6年在学していることになるが、これはどういう事情があったのか」ということで、想定の範囲内ではあるけれど身体が強ばる。「思い切ったことをなさってきたんですね」と言われ、「そうですね……思い切ったり、いや、思い悩んだ……ばかりですね」と言って苦笑いをするほかなかった。やや間があってから「他の学生よりも……広い視野を身に付けられたと思います」と、思い出したように付け加えた。
昼過ぎから横浜駅。イヤホンをしてコンコースを歩いていると男がこちらに向かってやって来て、その様子が気後れがちだったのと、手に数枚の紙を手にしていたことから、道案内をしてほしいのだろうか、と思ってイヤホンを外し、いくぶん訝んで話を聞いてみると、脱毛サロンの勧誘のようだった。ストリートで声を掛けること自体は否定しないが、ナンパ師には少なくとも明朗快活であってほしい。後腐れない関係。しかしこいつがサロンの営業? ネガキャンだろ、と言いたくなるほどイケてない男の、ねちねちとした喋り方に一瞬で腹が立って、てめえに足を止めさせられたことが悔しい、ふざけんな、と喉元まで出かかったのを無理やり飲み込んで、フル無視で立ち去った。ほどなくして原くんと待ち合わせ。ベイクォーターでサンドウィッチを食べ、喋り、ひたすらに海沿いを歩いた。レペゼン横浜、エリアからエリア。バイブスは満タン。みなとみらいから桜木町、赤レンガ、大桟橋、関内に至ると流石にくたびれたがそのまま初台、眠りながら忙しく働いた。