2025.02.02

出るとまだ小雨が残っていた。ローソンで10個入りのカイロを買い、店を出る前に2個開けて両方のポケットに突っ込む。初台から代々木上原へ。「オンシャを志望する理由は……」などとぶつぶつ唱えながら路地を歩いても一向に埒が明かず、やってらんねえ、と思う。駅に近づいたところで、店頭に本棚を置いている店を見つけ、古本屋だった。迷うことなく中に入ると、半地下の空間が店の奥に広がっていて、人文、芸術系の本が多いようだった。村上春樹関連の何冊かと保坂和志の文庫を買う。ブライアン・イーノのアンビエントが静かに流れていた。

上原の駅でタマムラ君と落ち合い、うどんを食べてスタバへ。彼はホットココア、僕はカモミール。さっそく模擬面接を始めてもらうが、僕が二つ目の質問に答えられなくなり「ちょ、ギブ、ギブ」と言ったのでそこから緩んだ緊張感は取り戻されることなく、ああでもない、こうでもないと三時間くらい話した。タマムラ君とはもう十年以上の付き合いになる。優劣という話では全くないが、彼と僕では思考のパターンに決定的な差がある。彼は結論ありきの話し方を苦とせず、面接向きの構成ができる一方で、僕は回り道をしながら思考の過程を相手に開示し、そこから何かが導き出されることを楽しんでいる。それがはっきりした。結局さ~そうなんだよ、まあなんとかやるよ、と話しながら小田急に乗って、新宿東口で別れた。

軽く買い物をして店番。オーダーをこなしながら味噌汁、人参、ポテサラを作り、最後のお客さんを返したあと厨房を適当に片付けて退勤。終電に乗る。どうせ頭は回らないのだから軽く眠っておけばよかったのに、「アル中カラカラ」の動画を久しぶりに観始めたら止まらなくなり、ずっと再生していた。企業公式のPR動画に突如出演したらしい。彼も生きているのだ。