かつて好きだった『ズッコケ三人組』シリーズのことをふと思い出し、続編『ズッコケ中年三人組 age45』をクローゼットから出してきて再読した。全50巻ある『三人組』シリーズが完結した翌年(続きものではないので完結とは言い難いが)、主人公の三人組が現代において40歳になったという設定で『中年三人組』シリーズが始まり、本屋でそれを見つけたときぶったまげた記憶がある。『三人組』は、図書館では「ティーンズ」の棚にあるようなれっきとした児童文学だ。ハチベエ、ハカセ、モーちゃんという小学生3人組がとにかく色々なことに巻き込まれる一話完結型のシリーズで、ミステリやSFのような話もある中、株式会社を設立したり、大地震に巻き込まれたり、事件記者を始めたりするような社会派の話が僕は特に好きだった。様々な文学のジャンル、果てには世の中に対する興味の入口としてとても優れていたと思う。いっぽう『中年三人組』シリーズは大人向けの体裁である。『三人組』の登場人物がそのまま大人になった世界で、当時の伏線を綺麗に回収しつつ、性や死といった生々しい描写も交えて10巻が出ている。「20年後のドラえもん」というのがトヨタのCMにあったが、それが限りなくリアルに作り込まれているような、そんな感じだ。しずかちゃんの妊娠中絶や不倫が語られ、なんやかんやあって女性不信ののび太と熟年結婚するような話が延々と続き、これほど面白いことはない。ネットでそれぞれの感想や批評を読み漁って感傷に浸っていたら夜が明けていた。著者の那須正幹は4年前に亡くなっている。