シャワーを浴びに行ったついでにファミマで缶のコロナビールと本搾りとつまみを買って戻ってきて、冷蔵庫から冷えているグラスを出して適当に飲んでいる。先週泊まったときは大きな窓から街灯の明かりが差し込んでくるのが気になって、というか窓にカーテンが掛かっていないことがこんなにも怖く、今居るのは2階だけれど何かが覗いてくるのではないか、ふと目をやった時に人の顔が、はたまた無数の手が、などとこうやって書いているだけで肩の辺りがぞわっとするが、実のところ今日はあんまり怖くない。あと怖いというか不気味なのは壁の棚に置いてある鈴木いづみのヘアヌード写真集で、モノクロの全裸が不敵な笑みを浮かべてずっとこちらを見ている。アラーキーが撮ったやつだ。営業中にヘアヌードに触れるのは憚られるのでさっき捲ってみたら中もそれなりに怖かった。後ろ向きに置いたら大丈夫かと思えば、表紙と全く同じ写真が背表紙にもあって何も変わらない。眠剤を飲んだ。
眠剤、睡眠薬と言えば今日は医者に行く日で、相変わらず耳の遠いお爺さんに「え? 何?」「ほんとう、そうかそうか」と言われるだけのためにだいぶ長い時間待たされた。ここ2、3日どういうわけか薬を飲み忘れていて、だからか分からないけれど明らかに不安が増幅? 増長? される感じがありだめだった、だめでしたねえ、という話はせずに「まあ、悪くはないです」といつも通り答え、そういえば『夜明けのすべて』で山添くんが心療内科を受診するシーンはだいぶリアルだった、どうしてもあの空間では「まあ、はい、はい、大丈夫です、」みたいな受け答えになってしまう、「あるある~」と思いながら演技を見ていたが、今日も今日とて「はい、はい、そうですね、はい」である。何も大丈夫ではない、薬の量も減らない。相変わらず出しなに「お大事に~」と冷たく言われる。それで今日はスタバでプロスピを片手間にやりながら佐川恭一の『就活闘争20XX』を「おもれ~~」と思いながら読み、クライマックスで謎に『ノルウェイの森』の永沢みも感じつつ、終え、夕方から恋人と待ち合わせていたので代々木公園のほうへ繰り出した。本当はフグレンへ行ってみたかったけれど混んでいたのでやめ、界隈の洒落たロースターでアイスコーヒーを飲んだ。