外は土砂降りで家を出るのがなんとなく躊躇われたけれど、ふとナイターのチケットを見てみたら空きがあったのでそれを取って、外出する予定ができたので仕方なく午後の授業へ向かった。だから三田で授業を受けたあとに地下鉄で水道橋へ移動して、ナイターが始まる18時までの間は機械書房へ寄ったあと東京ドームで野球を観たということになる。なります。そういえば前のバイト先で、「お会計は420円になります」とか「コーヒーになります」とか間違った日本語を使わないようにしましょう、ということを教わり、教えていて、今手に持っている物体がその場で硬貨やコーヒーに変化するわけじゃないんだから、ミスター・マリックじゃないんだから、みたいなことを言われ、言っていた気がする。日本語学的にはもう少し込み入った説明ができるんじゃないかとは思うが、その説明が至極真っ当だとも思われ、「なります」接客をされる度にスプーン曲げおじさんが頭に浮かぶようになってしまい、あるいは耳がでっかくなる方だったかもしれず、何の話をしようと思ったのかというと、日記を書く上では「なります」がしっくりくるという話に、なります。特に時系列であったことを書き連ねると、その瞬間に日記上での「その日」が生成され、そして書かれなかったことが日記上の「その日」には存在しないことになるという意味で、「その日」が「成って」いってるぞと、これは「なります」だぞ、と今書きながら思った。
野球は今日は2階のバックネット裏、やや3塁に寄ったところで観ていた。けれど1回裏あたりから「おれは何をやっているんだろう、何が楽しくて独りで野球を観にきてぼうっとしているんだろう」という鬱々としたものがやってきて、広島の堂林がソロホームランを打っても、そのあと巨人が連打で2点を返しても何とも思わなくなってしまって、これはまずい、何も楽しくないぞと、早々に着ていたユニフォームを脱いでドームを出てしまった。結局9回表に暴投で広島に点が入り、延長戦で丸がサヨナラホームランを打って試合が決した、ということを帰りの電車の中で知ったが、それでも何とも思わなかった。誰に責められたわけでもないが、いい加減こんなことはやめてしまおうと思った。