時間ギリギリに家を出るほうが悪いと言われれば元も子もないのだが、朝というか午前中の京浜東北線は本当に、ほんとうに、毎日5分から10分ほどの遅れ、許しがたい遅れをを持って運行されていて、さらに言えば「今日は珍しく遅れてないぞ」と思って乗り込むと、たいてい蒲田のあたりを走行中にぐぐっと急ブレーキをかけて「急停車します」という無機質なアナウンスが流れたのちに容赦なく非常停止する。そのうえ大概が「この先の線路内に人が立ち入ったため」で、今日も例に漏れずまさにそれをやりやがって、こっちは1分刻みの計算で2限に間に合うか間に合わないかの瀬戸際なんじゃ、ふざけんなよ、だいたい蒲田のところの大きな踏切がいけない、踏切、あのタイヤ公園の近くにあるやつは、京浜東北線にくわえて東海道線の線路も有する「開かずの踏切」として有名で、それを待ちきれない蒲田のクソ野郎が潜り抜けようとするのだろう、ふざけんな、ふざけんなよ…………という憤りとともに一気に具合の悪さが押し寄せてきて、吊革に両手で捕まって立っているのが精いっぱいになって、車内に流れるマナー啓発の放送も、駅で乗客を急かす駅員の声も耳に刺さって仕方がない、何もかもが気分の悪さを増幅させてくる、もう授業に行くのを諦めて大井町か大森で降りて休んでしまおうかと思ったが、途中で降りたところで結局朝の10時過ぎとかで、今日は授業のほかに何も用事はなく夜勤まで暇なので、どこかで時間を潰す算段も思いつかずに死んだような顔でそのまま乗っていた。夏バテかと思われた。