2024.05.16

 「東京か、東京以外か」という二項対立をワカオくんは最近よく使う。映画で言えば『夜明けのすべて』も『悪は存在しない』も、象徴としての「東京」的なものと、広い意味での「東京」以外、それは空間としての地方にかかわらず、カネや華々しさの競争が存在しない場所、を描いたものであり、たとえば『夜明け』は「東京」に合わない人が「東京」から排除される物語でーーそして君も「東京」には合わないんだから諦めて違うところを目指すべきだよ、くふふ、そうじゃない? と言ってのける。そんな話ばかりしている。いやさあ、別に俺も「東京」を諦めたわけじゃないし、そもそもそんな雑な二項対立でーーと僕はいつも言い返すが、あながち間違いでもないのかもしれないとも思いつつ、三田の校舎を出た二人は東京タワーを右手に見ながら神谷町、霞ヶ関、桜田門とひたすらに歩き、東京駅へと至った。丸の内駅舎の正面に続く広場でウェディングフォトを撮る新郎新婦が、今日は両手で数えても足らないくらい沢山いた。