2024.02.24

『八本脚の蝶』は奔放な読書日記でもある。

私にとっての、沢山の、本(私は就職してから年に多分三六五冊を超すぐらいの本を読んでいる。学生の時はその倍、小学生の時はその三倍は読んだ)。一冊の本ではない。沢山の本は有機的に絡みあい、本の集合体として私を変えた。変えられた私はあらたな選択眼であらたな本を読む。かつて読んだ本はあらたな文脈に基づき読み返される。そうして作られた私と本との結びつき。本によって作られた世界観で私の世界は変わり、私の世界観によって本は違うものとして読みとられる。

世界のどこかに、すべてが書かれた一冊の本があるという夢を持つ本好きは多いはずだ。ある意味我々はその本を既に手にしている。今手に取った一冊がその一頁、その一つの脚注であるような、膨大な集合体としての本を。

二階堂奥歯『八本脚の蝶』河出文庫 2020 p.355

久々に空を見た。アプリの週間予報では晴れと雨のマークが交互に付いていて、意味がないだろうと思いつつも車を洗う。午後から恋人と会い、さみーさみーと言って、ファミマ限定のジントニックを浴びるように飲んで帰った。