2024.01.02

寒い日で雨が降り出しそうな天気。着込んでワカオくんの家へ。ワカオ家の皆が出かけてしまったので、余ったおせちを食べて欲しいと言われていたのだった。夜にはスパイスカレーを振舞ってくれるようで、台所ではすでに仕込みが始まっていた。玉ねぎが3つみじん切りにされて、鍋でひたすらに炒められているのを隣から覗き込みながら、僕も何か手伝ったほうが良いのだろうか、はたまたカレーに関しては彼ひとりの手を工程の細部まで行き渡らせた方がよいのかもしれない、と缶ビールを立って飲みながらヘラヘラしていたら、トマト缶を鍋に開けて木べらで混ぜ合わせるところをやらせてくれた。ただかき混ぜれば良いわけではなく、焦げ目がつかないようにとんとんと潰すように木べらを垂直にして叩き混ぜる。その道にこだわりを持つ人から、一見「奥が深いねえ」と済まされそうなことの「奥」を丁寧に教えてもらうことが最近増えた。例えば洗車とか。ワカオくんのバイブルは水野仁輔の『スパイスカレーを作る』で、「書いてあることは素晴らしいんだけど、海外文学かぶれの余計なひとことが鼻につく」とのこと。リビングで駄弁っていたら飛行機が火を噴いている映像がタイムラインに流れてきて、まさかと思ったら今まさに羽田で起こっていることのようだった。慌ててテレビを地上波にすると、見慣れた機体が炎に包まれている様子がはっきりと大映しになった。燃え盛るにつれて段々と骨組みが露わになってゆき、焼け落ちてゆく主翼のあたりから機体が真っ二つになった瞬間、ああ、と大きな声が出ていた。